子供の頃は、時代劇映画が溢れていた。子供の遊びの中にもチャンバラがあって、棒切れを持って振り回していたのが懐かしい。風呂敷を持ち出して、目の部分だけを開けた覆面をしたものだ。地元にあった映画館では、東映の時代劇ばかり上映していた。市川歌右衛門の旗本退屈男、大川橋蔵の新吾十番勝負、中村錦之介の一心太助、大友柳太郎の丹下左膳。あの東映のタイトルバックの、岩に波しぶきが掛かる映像を見ただけで興奮したものだった。地元の映画館が二つになった。そこでは大映の時代劇を見た。長谷川一夫の銭形平次、市川雷蔵の忍びの者、勝新太郎の座頭市、梅若正二の赤胴鈴の助。映画館で見る時代劇は、本当に面白かった。テレビが各家庭に置かれるようになり、我が家にもテレビが来るが、白黒の時代。映画のようなカラーの華やかさはないが、毎日のように見れるのが嬉しかった。一番最初に好きになったテレビ時代劇は変幻三日月丸。その後、風小僧、白馬童子、隠密剣士、琴姫七変化、矢車剣之助など。白馬童子の山城新伍や、隠密剣士の大瀬康一、霧の頓兵衛はあこがれの大スターだった。時代は変わり、時代劇映画はチャンバラ映画ではなく、シリアスな時代劇に変わっていく。三匹の侍で、五社英雄監督が、肉を切るリアルな音を使い始める。黒沢明監督の椿三十郎や用心棒では、七人の侍以来シリアスな立ち回りを取り入れ、血しぶきの出るような殺陣が使われる。殺陣師久世竜の殺陣には感銘を受けた。地上波のテレビから、時代劇がほとんど姿を消す。長寿番組だった大川橋蔵の銭形平次が終わり、水戸黄門、必殺シリーズなども終わってテレビで時代劇を見る事は少ない。24時間時代劇放送しているCSの時代劇チャンネルの登録者も多い。2000年NHK連続テレビ小説「オードリー」は、時代劇のメッカ京都太秦が舞台。その中で時代劇の大スター栗部金太郎ことクリキン役を演じたのが舟木さん。東の御大と呼ばれるクリキン舟木さんはさしずめ市川歌右衛門さんで、林与一さん演じるモモケンこと川の御大は片岡知恵蔵さんと言ったところか。いろいろ前置きで書いたが、舟木さんは歌手ではなく、所を変えれば、超一流の時代劇映画スターになれたのではないかと言う事。姿かたちは申し分のない二枚目時代劇スター。勿論声も素晴らしい。数々の作品を見る中で、その立ち居振る舞いは、時代劇スターと言っても間違いない。時代考証もご自分で調べておられるらしい。舞台も勿論楽しみなのだが、大型時代劇映画の主役を、どうしてもやって貰いたかったと思う。今日は、オードリーの大好きな写真を載せる事にしました。
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時代劇スター 栗部金太郎
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