舟木一夫特別公演「天一坊秘聞 八百万石に挑む男」
新橋演舞場の１か月公演が初日を迎えました。
東京での公演という事もあり、またお気楽な日々を送っているので、初めて初日の舞台を見る事になります。初日、中日、千穐楽と見る事が夢でもありましたから、今回の公演は、とても楽しみでもあります。
東銀座に着いてルノアールで、コーヒーを飲みながらブレイクタイム。東銀座駅から演舞場へ向かう多くの方々を眺めながら、気分は高揚してきます。
この日の座席は、一番前の上手の一番端。決して良い席とは言えませんが、それでも先頭で見るのは初めて、舞台が近いのは嬉しい事です。
後ろの方を気にせずに見れるので、気楽なのが良かったですね。
さて舞台の幕があきます。
導入部の舞台上には沢山の役者さんで騒ぎから始まります。
山伏姿の尾上松也さんが登場。山伏姿に六尺棒は良くお似合いです。流石当代の若手人気歌舞伎役者さん。台詞の歯切れの良さ、張りのある声、そして何と言っても、その立居姿が見事であり素晴らしい。そうした松也さんの登場で、これから先のお芝居の流れが、より楽しみを感じさせました。
そして花道から舟木さんの登場。花道の舟木さんに皆さん釘付けです。
松也さんの六尺棒を使っての立ち回りは見事としか言えません。とても気持ちが良かったですね。
さて、お芝居の内容については、詳しく説明する訳にはいきませんが、これからご覧いただく皆さん為に、見所なりを書いておきましょう。
まず一番に感じた事は、お芝居の本が、実によく書かれている事です。
天一坊事件に関しては、講談などでは大岡政談として描かれていて、天一坊は悪人とされ獄門になります。更に将軍のご落胤であるかどうかの真偽は不明とされています。ですからこのお話が舞台にかかると聞いて、どのように描かれるかが不安に思っていました。
ところがどっこい（笑）見事な本と演出でした。それはご覧になった皆さんも感じた事でしょう。後半には、場内から沢山のすすり泣きが聞えてきました。
最後に沢山の取方に囲まれる山内伊賀之亮の舟木さん。これはもう圧巻です。屋根の上での立ち回りは、思わず「事故が起こらないように」と思うほどの迫力です。登ったり降りたりしながら立ち回り。花の生涯での回い舞台を使っての立ち回りも見事でしたが、今回の立ち回りは、ギリギリ小さなスペースででの、沢山のカラミの方との立ち回りで、これまた見事と言うほかありません。
必見の立ち回りと言ってよいでしょう。
今回の舞台は、花道を使ったお芝居が多いので、花道の見えない下手の２階席３階席の方は、少々残念な結果になるかもしれませんね。
林与一さん、田村亮さんが、やはり重厚な演技をされています。林与一さんの大岡越前、田村亮さんの将軍吉宗は、適役だったと思います。
それに何と言っても舞台を明るくしているのが尾上松也さん。舟木さんとの共演は、もっと話題になって良いのでは思ったりします。
勿論、舟木さんの演技も素晴らしい。ご自分が昔ご覧になった八百万石に挑む男の映画の中で、市川歌右衛門さん演じる山内伊賀之亮に魅了されて、温めてこられたお芝居だけに、その情熱が伝わってきます。
まだ初日、舟木さんがおっしゃる通り、舞台が続くにつれ、もっとこなれた演技を皆さんされていく事でしょう。次に見るときは、また座る席が変わるので、また違った感じで見る事が出来るかもしれません。
トークショーを含め、千穐楽まであと７回。楽しみな舞台を見る事になります。
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