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謹んで 新春の お慶びを申し上げます
今年は新年号に変わる年となり、平成も終わる節目の年の幕開けとなりました。
平成の30年を思い起こすよりも、昭和の時代が、更に遠くに行ってしまったとか感じてしまいます。
俳人の中村草田男は「降る雪や 明治は遠く なりにけり」と詠みましたが、それを模して詠むとすれば
「初春や 昭和は遠く なりにけり」と詠んでしまいます。
昭和の時代は、私たちのとっては、実に懐かしく多様な時代でした。戦前の20年間は知る由もありませんが、戦後の日本と歩みと共にするように育った年代です。
戦後の混乱期からの復興こそ知らない年代ですが、ラジオからテレビになり、白黒テレビがカラーテレビになります。戦後の「三種の神器」と呼ばれた電気洗濯機、電気冷蔵庫、そしてテレビ。これれは勿論ありませんから、洗濯はタライに洗濯板に固形石鹸。冷蔵庫は氷屋が持ってくる氷を入れた冷蔵庫。テレビはなくラジオの時代でした。電話機のある家は稀で、ご近所さんに借りに行ったり、呼び出したり。
暖房は炭、風呂は薪や石炭で炊き、トイレはボットン便所。トイレットペーパーは無く落とし紙。水道も無く井戸水を汲み上げる。蚊やハエも多く、蚊取り線香に蚊帳。ハエ叩きや蝿帳。給食は鯨カツに脱脂粉乳などなど、子供の頃は今とは全く違います。
商店街のスピーカーや店舗からは、常にラジオから歌謡曲が流れていました。
美空ひばり、三波春夫、藤山一郎、フランク永井、ダークダックス、マヒナスターズ、大津美子、コロムビア・ローズ、白根一夫、三橋美智也、春日八郎などなど。
坂本九や森山加代子が活躍して、橋幸夫がデビュー。この頃に我が家に初めてレコードプレーヤーが入ります。初めて買ったレコードが橋幸夫の「南海の美少年」と父が選らんだ村田英雄の「王将」2枚しかないレコードが宝物のようでした。
橋幸夫、吉永小百合の「いつでも夢を」がレコード大賞を獲り、明くる年舟木一夫「高校三年生」「学園広場」でレコード大賞新人賞を獲得します。
ラジオを聴くのが楽しくて仕方のない時期でした。トランジスタラジオなど不要と、買うことの無かった我が家では、真空管のラジオでは夜寝る時に聞く事が出来ず、電池も要らないゲルマニュームラジオのイヤホーンから聞こえる小さな音を、布団の中で必死に聞いたものです。
そんな子供の頃の昭和から、東京オリンピック、大坂万博などの世界的イベントが日本で行われ、昭和の時代はどんどん進歩していきます。
三種の神器も新三種の神器の時代となり、カラーテレビ、クーラー、カーの3Cになりました。戦後の昭和の時代の変遷を、身をもって見てきたのが我々の年代です。その我々の年代も、60代後半から70代にになり、昭和の時代をしらない人達が増えました。戦前の話を聞ける先輩たちも次々と居なくなり、我々が後輩たちに聞かせる時代になっています。
舟木さんの長い芸能生活には、ファンとして常に寄り添っていた訳ではありませんが、同じ世相を見て生きて来ましたから、思いは違えども戦友のような思いで接する事もあります。舟木さんの往年の歌を聞き、又映画を見て、そしてコンサートやインタビューで語られる舟木さんの思いに、常に共感を覚えるのです。
「舟木一夫に負けるか」と思っていたと語る友人が居ます。「舟木一夫になりたい」と思った私が居ます。とてもとても舟木さんに勝てる訳ではありませんし、舟木一夫になれる事などありえません。ただただ、同世代のシンボル的な存在である舟木さんには、いつまでも元気で、同世代に勇気を与える存在で、頑張って頂きたいと思うのです。
2019年元旦 さすらい記
元日や 舟木詣でで 夢うつつ