映画少年だった私は 映画に出る事に憧れていた
だから 友人に誘われて エキストラを始めた時も 二つ返事だった
経堂の「劇団 いろは」 友人達 数人と手続きに出かけた
去年見た「劇団 いろは」はビルになっていたし 他にも建物を持っていたが
当時を思い出すと 平屋の木造の建物だったと思う
エキストラを映画会社やテレビ局に送り出す仕事を 仕出屋と言う
料理の仕出しと 同じ訳で エキストラは料理と同じ訳だ
「劇団 いろは」の他に「国際」と「早川プロ」と言うのがあった
友人達と共に この３つのプロダクションに登録をした
初めて行った「劇団 いろは」で 運良く私だけ その場で仕事を貰った
社長の前田おまこさんから
「あなた 背広持ってる？」
「はい 持ってます」
「それじゃぁ 明日 東映の大泉撮影所に行ってくれる」
「はい ありがとうございます」
「柔道一直線の 先生役だから 背広着てれば背も高いし いいんじゃない」
他の友人達を尻目に 私だけ エキストラの仕事が・・・
さて困った
一人で東映大泉撮影所に行かねばならない
エキストラなんて どうやるのかも解らず 仕事を貰った喜びよりも
不安な気持ちのほうが 先だった
どうやって行ったかは覚えていない
気が付いたら 撮影所のセットの中に座っていた
ここは 主役の桜木健一通う学校の職員室
セットは移動用のレールが敷かれ リハーサルが始まる
始めてみる映画の撮影に ドキドキハラハラの時を過ごしたのである
それから数ヶ月 またしても柔道一直線でのエキストラの仕事が入った
なんと 今度は生徒の役（笑）
本当にこの時は「その他大勢」の一員だから 気が楽だった
とてもながく エキストラをしていたと思っていたが たったの半年なのだ
その後テレビ局のアルバイトを始めて エキストラは辞めてしまった
「柔道一直線」以外では 梅宮辰夫主演の「夜遊びの帝王」にも行った
渋谷での深夜のロケだった
それこそ 通行人の役だったが 映画館で自分の姿を見て 興奮したものである
さて 私以外の友人達はどうだったか
どんな作品に出たかは 詳しく聞かなかったが ある友人の話では
「タイガーマスク」の地方廻りのショウに行かされていたそうだ
イベント会場に プロレスのリングが張られ プロレスをする
それは 段取りがあるから問題はないのだが リングを降りた後が大変
サインをしたり 握手をしたり 更には子供が飛び掛って来るのを受ける
生傷の耐えない仕事で 彼はその後直ぐに辞めてしまった
当たり前だ レスラーでもないし 身体を鍛えている訳ではないもの
もう一本 私がエキストラで出た作品がある
これは 次回書く事にしよう 作品名は「俺の空だぜ！若大将」である